2012年7月25日水曜日

省エネ建築診断士


12~13日で、パッシブハウス・ジャパン主催の省エネ建築診断士セミナーに参加してきました。住宅の省エネ性能を判断するための知識を習得するというもの。講習の後に試験があって、それに合格すると「省エネ建築診断士」の資格がもらえます。資格がほしいというわけではなくて、省エネ住宅の考え方を学びたくて参加しました。昨日試験結果の発表があり、私も無事合格していました。よかった。講師の森みわ先生、松尾和也先生とも、とても分かりやすい講義だったし、それよりなにより省エネ住宅に懸ける情熱と信念のようなものが静かに伝わってくる感動的な講義でした。懇親会に参加できなかったのが悔やまれます。
何を勉強したか。自分が設計する建物の省エネ性能がどのくらいのものなのかということを判断するための基礎知識を勉強しました。最近では、建物が使うエネルギーを計算してくれるソフト(「建もの燃費ナビ」など)も出ていますが、どういう計算をしているのかという基本的な知識は身に付けている必要があると思います。以下、まとまってませんが、今回勉強したことと、省エネ住宅に関して普段から考えていること。
一般的な住宅の場合だと、ざっとですが、使うエネルギー(一次エネルギー)の3分の1が給湯、3分の1が暖房、3分の1が家電などと言われています。夏は冷房にたくさん使ってるイメージがありますが、冷房は10%くらいと言われています。これを減らすにはどうしたらいいか。まずは、建物の断熱性能を上げることです。次に、自然の力をうまく利用することです。冬には南からの太陽光を入れ部屋を暖めるとか、夏場は日射を遮り風通しを良くして冷房に頼る日を減らすとか、太陽熱で温めたお湯をお風呂に使うとか、そういった工夫が大切です。
断熱性能が上がるともちろん光熱費が下がるのですが、それにも増して快適性が向上します。これは、今までは冷たかった壁(いくら部屋を暖めても底冷えする感覚はこのせいです)が、断熱性能が上がることで室温に近くなり、同じ室温でも体感温度がだいぶ上がります。今までは8畳くらいの狭い部屋だけを暖めて、脱衣室やトイレは寒いといった生活スタイルだったのが、エアコン1台で家全体が温かい、しかも光熱費は前より安くなった、というようなイメージです。
断熱性能アップは、新築でなくてもリフォームでも可能です。というより、これからはリフォームでも積極的に考えていく必要があると思います。「建もの燃費ナビ」というソフトを使うと(もちろん新築でも使えるソフトですが)、今住んでる家の断熱性能がどのくらいで、こうこうこういう断熱改修をすればこのくらいの性能アップが見込めます、ということが簡単にシミュレーションできます。さらには、年間の光熱費がどのくらい変化するかということもある程度正確にシミュレーションできます。今住んでる家の温熱環境シミュレーションくらいなら、営業的にサービスでやってもいいかもしれません。頼んでくれる人がいればの話だけどね。
2日間とても充実した内容でした。日本全体で使う一次エネルギーの内、4割くらいは建物(住宅やオフィスなど)で使っています。私たち設計者は、建物が使うエネルギーを減らせるような設計をする責任がある、と改めて考える2日間でした。

2012年6月25日月曜日

「地域文化財専門家」育成研修(1)

久しぶりの投稿です。
23日は、静岡県建築士会主催の「「地域文化財専門家」を育成する研修」というのに参加してきました。テキストによれば、「地域に埋もれた文化的価値のある歴史的建造物を発掘し、その価値を判定するとともに、その建造物の保全・活用に関し、市町村や建築所有者から相談を受けたり、場合によっては、改修などについて提案することができる専門家」とあります。文化財というと少し敷居が高いようなイメージがありますが、この専門家は、地域に残る身近で文化的価値のある建物をもっと活用することで、地域の個性を活かしたまちづくりをしていくためのアドバイスができる建築の専門家という感じでしょうか。最近関わり始めた地元地域のまちづくり勉強会などでも役立ちそうです。
この講習会、全部で7回の講習があり、宿題なんかもあったりして結構大変なんですが、楽しんでやっていけそうです。最初の宿題は、自分が住んでいる地域で眠っている文化財建造物・建築物(と自分が思うもの)を探すというものです。3件以上。すぐには思い当たらないのでこれからあちこち出かけてみようと思います。
さて、その日は、講習会が終わって、懇親会に参加したい気持ちをぐっと抑えて(よっぽどのことがない限り懇親会とか交流会というものを欠席することはないのですが)、大学時代の研究室のOB/OG会にダッシュ(でも少し遅刻)。そこで、千葉工大准教授のY崎先輩から、「石橋は、建築士会でやってるヘリテージマネージャーの講習会とかは出たりしてないの?」と聞かれびっくり。上に書いた通り、静岡の場合は「地域文化財専門家」という名称ですが、もともとこのような専門家育成を始めたのは兵庫県が最初で、兵庫県では「ヘリテージマネージャー」という名称らしいです。ジャストタイミングだったのでびっくりでした。その他、知らぬ間に結婚してた人や、離婚してた人、就職が決まった人、いつまでも僕の製図板を借りたままの人など、あともちろん先生とも、いろいろとお話ができて楽しいひとときでした。

2011年6月1日水曜日

講演会「松村正恒の思想」を聞いてきた

岡田湯も竣工し東京に行く機会がめっきり減ってしまい、東京出張のついでに展覧会や講演会などに行く機会も減ってしまった。時間と交通費を使ってわざわざ出かけるとなると億劫になったりするのだけど、でもこの講演会は行ってよかった。
『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』の花田佳明さんと、青木淳さん(東大で花田さんと同級生だとか)による講演会。『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』を読んでいたこともあり、花田さんの話は理解しやすかった。青木さんは、改修後の日土小学校を見学したときに撮った写真をスライドで見せながら、日土小学校の特徴について解説(?)してくれるというもの。これが大変面白かった。青木淳という建築家はこういうところが気になってしょうがないんだ、こういう見方をしてるんだ、ということが新鮮だった。「基本真壁なんだけど、縦横のラインを強調して空間の抽象性を“表現”するようなことをしていない」とか、「金物の使い方など、金物をかっこよく見せようとするわけでもなく、隠そうとするわけでもない」とか、「ジョイント部分は普通は、ジョイントをかっこよく見せるか、ジョイントがないように見せるかどちらかだけど、日土はどちらでもない」とか、「ごく普通に見えるようなディテールで全体ができている」とか、「部品と部品を分けるでもなく、その間があるわけでもなく」などなど。そのようなディテールが、あの空間の雰囲気のようなものをつくっているのではということだった。
帰りの新幹線でもいろいろなことを考えたのだけど、ひとつ、青木さんは自身の作品ではわざと「普通じゃない納まり」をやるんだろうけど、松村の場合はどこまで「わざと」と言えるのか?ということが疑問に思った。「表現しない」ために、やりっぱなしみたいなディテールでよしとするのは、松村がどこまで意図していたことなのだろうか? 日土小学校には、すっきりとしたモダニズム建築らしい納まりもあれば、明らかにへんなところもある。浮いたように見せてる下足入や図書室の棚など、すごくデザインがうまい人なのは間違いないので、「へんな納まり」になってるところが、施工の技術レベルの問題なのか、力を抜いた設計なのか、あえて「へんに」見せようとしたのか、気になるところ。花田さんの結論のひとつにも「建築の意味が確定することを拒否したこと」とあるが、そのために色を使ったり、銀紙を張ったりしたのではないか、ということであったが、意図しないでやってるディテールも結構あるように感じられた。たぶん、いろいろなレベルで混ざってるのだろう。僕の経験上では、一生懸命考えた納まりだけど「これどうやって作るんすかぁ?絶対壊れますよぉ」なんて現場監督に言われて、泣く泣く変更したりすることはあるけど、そういうレベルとは違うと思うし。普通に見えるところでも、かなり気を使って設計しているという場合もあるし。まあ、とにかく、これは一度見に行かないといけないと改めて思いました。8月7日に見学会があるようですが、珍しく予定が入ってるしなー、次の春休みシーズンに見学会があればいいけど。

2011年5月1日日曜日

家庭菜園



昨年越してきた今の家の庭には畑があります。冬の間は放置されていたんですが、春になって暖かくなってきたので、夏野菜を中心に植えてみました。イタリアンパセリやルッコラといった少しおしゃれな感じのする野菜や、枝豆やオクラやトマトなどです。まだまだスペースがあるので、今度はズッキーニやパプリカなども植えてみたいと考えてます。
庭から野菜を採ってきてサラダを作ったり、ピザに乗せて焼いたりといった、田舎の優雅な休日ライフを思い描いて始めたのですが、収穫までには長い道のりがあるのであって、鍬で耕したり草取りをしたりするのは結構大変です。いやいや、努力なくして成功なし。毎朝出掛けに畑の様子をチェックして水をやったりするのがいまのところ日課となっています。

2011年3月29日火曜日

建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム

東陽町のギャラリーA4で開催中の「八幡浜市立日土小学校と松村正恒展—木造モダニズムの可能性」を見てきました。本当は25日に予定されていた花田佳明さんと青木淳さんの講演も楽しみにしていたけど今回の大震災のためか中止ということで残念。タイトルの通り松村正恒の代表作である日土小学校に焦点が当てられています。日土小学校は2009年に改修工事が終わり保存再生工事が完成し新たな小学校として生まれ変わったということです。展示では、教室に入ったかのような感覚になる大きく引き延ばした写真や映像(明るい元気な子どもたちが駆け回っている)によって、今も日土小学校が大切に使われていることが伝わってきて感動的です。やはり建物は使われてこそ生き続けるのだということを改めて思いました。
そもそもこの展覧会をぜひ見に行こうと思ったのは、最近出版された花田佳明『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』(鹿島出版会)がとても面白かったからです。600ページ以上の分厚い本で読み出すまでに時間がかかりますが、読み出すと長編小説を読むようにすらすら進んでいけます。松村正恒という人は日本における最初のドコモモ20選の人というくらいの認識でしたが、こんなすごい人だったとは、というのが率直な感想です。モダニズム建築なんだけど、建物の自由にのびのびとした感じは本のタイトルにある「もうひとつのモダニズム」という言葉に集約されているように思いました。松村のひたすら理想の公共建築(学校や病院)を追い求める姿や、建築家としての倫理観など、地方の設計事務所で働く者としても勇気づけられます。
そういえば、こないだ、岡田湯の設備の営業さんと世間話の中でその人の出身地が八幡浜だという話になり、「日土小学校という有名な小学校がありますね」と言ったら驚いてました。日土小学校は夏休みなどに見学会もやってるようなのでぜひとも一度行ってみたいです。

2011年3月24日木曜日

岡田湯竣工

ロビー

浴室


浴室

こちらも長岡幼稚園と同様、2年前に実家の事務所に入ってから本格的に設計が始まり、長岡幼稚園と同時並行的に設計監理を行ってきました。こちらは、話をもらったのはかれこれ5〜6年前のことであり、その間のいろいろなことも断片的に思い出され感慨深いものがあります。計画自体も二転三転し、確認申請でもかなり変更を余儀なくされ、大変苦労して設計しました。
オーナーさんには「東京一かっこいい銭湯になったよ。東京一ということは日本一だよ」と言ってもらえたので、こちらも合格点といって良いのではないかと思います。オーナーさんの希望でしたが、浴室にロフトがあるような銭湯なんて他にないと思います(法的にはかなり苦労しました)。露天風呂も緑いっぱいで気持ちがいいと思います。まだ少し手直し等ありますが、最後までがんばろう。
長岡幼稚園とは違って、施工者と現場所長にははっきり言って苦労しました。すべてが自分の都合で動くと思っているのか、自分以外の立場・状況が想像できないのか、これまでもいろいろな現場所長さんがいましたが、これは初めて。施工者選定のときからかなり大変な現場になるだろうことは予想されましたが、、。そんなやり方では良い建物できないよ、TY建設さん(いちおうイニシャル)。それとも、役所指導による是正対応などを施工者に助けてもらうということ自体が甘い考えなのか。役所は「図面では読み取れなかった」などと平気で言うし。それに、施工者の提案を受け入れた部分だってかなりあると思うのだけど。まあ、今回、設計事務所の責任とかリスク管理ということではかなり経験値アップだと思いますが。
銭湯なので450円で入れます(ドライサウナはプラス200円)。風呂上りにはエビスビールもジョッキで飲めます。足立区にお住まいの方はぜひ一度行ってみてください。足立区在住の読者はいないか。3月26日オープンです。
天気の都合で外観写真はまだですが、内観写真を少しだけ。ホームページのほうにも改めてアップします。

長岡幼稚園竣工

南側外観

保育室

ホール

設計からだと2年弱、2年前に実家の事務所で働き始めて間もなく、プロポで運良く勝てた物件であり、思い入れの強い建物です。県産材の杉による集成材を使った木造としたこと、天窓によって採光と通風をコントロールし空調等に頼らなくても快適な環境となることを目指したこと、ヒノキフローリングや珪藻土など子どもたちに優しい自然素材を多く使っていることなどの特徴があります。設計が始まった頃は、県産材とか木造なんてことはあまり言われていませんでしたが、今は国も県も木造を推進しようとしています。政治的に木造じゃなきゃだめと言われるのも設計者の自由度が下がるような気がして違和感がありますが、幼稚園という用途では木造がいいと思います。出来上がってみると反省点もたくさんあり、今後に活かしていかなければという思いも強く持ちました。しかし、建物を見た人の評判はよく、いまのところ合格点はもらえているのではないかと考えております。
今回は工期が無くて大変な現場だったと思いますが、施工のクオリティは高いと思います。良い施工者良い現場代理人に恵まれたと思います。良い建物を造るんだという気持ちが伝わってくるような現場所長さんでした。私たち設計者は図面を描くだけで、出来上がる建物のクオリティは施工する人の経験や技術力に大きく左右されてしまうというのが現実でもあります。極端な話、出来上がる建物が良いものになるかどうかは運まかせということになりますが、設計者としてそれでいいのかということは悩ましいです。今回は運が良かったということか。
来年度の園庭整備が残ってますが、園舎のほうは4月から使われ始めます。子どもたちが元気良く遊び回って、生き生きと使われることを願っています。ホームページのほうにも改めてアップしますが、写真を数枚載せておきます。

2010年7月26日月曜日

こちらも着工



長岡幼稚園も安全祈願祭が行われいよいよ着工です。来年2月末の竣工予定です。監理のほうも引き続き担当することができ、竣工がとても楽しみです。暑いけど気合いを入れてがんばろう。

2010年7月5日月曜日

建築はどこにあるの?

アトリエ・ワン「まちあわせ」

中村竜治「とうもろこし畑」

ちょっと前になりますが、東京・竹橋の国立近代美術館でやっている「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」に行ってきました。世代の異なる7人の建築家たちによるインスタレーションで、図面や模型、建築写真といった普通の建築の展覧会とは違います。建築家が美術展に出展するということはこれまでにもありましたが、建築家のインスタレーションのみによる展覧会というのは記憶にありません。
竹橋駅から美術館に向かって歩くときはいつも、学生時代に国立公文書館(近美の隣)に毎日通ったことを思い出します。当時もそうでしたが、前を通りながらなんとなく入りにくい雰囲気のある美術館だなーと思ってました。なので、中に入ったことは数回しかありません。ところが今回は、アトリエ・ワンの「まちあわせ」という展示物が出迎えてくれます。動物のようなかたちをした竹でできた展示物で、普段はエントランス前の芝生で、なんとなくかしこまった感じの場所ですが、これによってほのぼのとした感じの場所になっています。いい具合に日陰ができたり、腰掛けるところがあったりで、外の空間いっぱいに広がって展示物があるというのもとてもいいと思います。
もうひとつ、驚かされた展示物が、中村竜治の「とうもろこし畑」という作品。もわっとした感じのボリュームがそこにあるといったらいいでしょうか。なんとも不思議な感じです。レーザーカットした厚紙をつなぎ合わせているということですが、これを作った労力とかそういうことは抜きにして、作品として圧倒されます。
その他の展示もどれも興味深く、共通するコンセプトなどはなく、バラバラといえばバラバラなのですが、それぞれ特徴があってそれはそれで面白いと思いました。でも、「建築はどこにあるの?」という展覧会タイトルは、「これが建築なの?」みたいに、ちょっと否定的に聞こえちゃうのは僕だけじゃないと思います。

2010年6月29日火曜日

吉村順三記念ギャラリー

わざわざそのためだけに行かないけど、時間が合えば必ず立ち寄る場所のひとつ、東京・目白の吉村順三記念ギャラリーに行ってきました。今回は、家内が東京に住む妹に会うということで、僕は運転手。妹さんのアパートについてからは、「どっか行ってていいよ」というので。。。
この吉村順三記念ギャラリーですが、「小さな建築展」として、毎回ひとつの作品を取り上げて、図面や模型などが展示されます。吉村事務所のOBの方などが中心になってやっているらしく、運がいいとその作品を担当した人がいたりして、直接話を聞くことができたりします。
今回は22回目の展覧会で、「御蔵山の家」です。この「御蔵山の家」は、1966年に竣工してから2回増築されて、今も大事に住まわれているということです。設計期間に2年以上かかってるらしく、さまざまなプランが検討されたことが展示からもわかります。中にはトイレが部屋の真ん中にあったりして、これはないだろうというようなプランもあるのですが、最終形がやっぱ一番しっくりとしているように思いました。最後の最後で東西を反転したりして、プランが決定しているなど、最後の最後まで検討が繰り返されている様子が伝わってきます。少しでも部屋を広くするための厚さ24ミリの合板だけの間仕切り(配線とかできません)や、仕上げ材料などからは徹底してコストを抑える工夫が読み取れるのですが、一方では、床暖房や暖炉があるなど、豊かな生活をおくるための追求がされています。この暖炉だって、躯体と一緒に打ってるので(躯体費に含まれてしまい)暖炉自体の値段はわからないなど、低コストで実現されていると思われます。いろいろな工夫が詰まった図面に見入っていると、「これが正解だと思っちゃダメですよ。こういうこともできるんだ、くらいに考えたほうがいいかと思います」なんていう解説があったりして、とても勉強になります。確かに、雨漏りや断熱のことを考えると、ついつい安全側、というか結果として過剰になってしまうのですが、「これでいいんだ。これでもいける」という感覚はなかなか身につかないなー、がんばろう、という気持ちになりました。
ところで、そんなに予算的に厳しいのになんでRCにしたのだろうかという疑問がわきます。会場の人に聞いてみたところ、「RCを木造のコストでやってみよう」という吉村順三の一言からRC造になったとかで、お施主様は、木造ともRCとも希望はとくに言わなかったということです。木造であればコスト的にはもう少し楽なはずなのに、そういったチャレンジングなところが吉村順三らしいような気がします。

2010年6月22日火曜日

やっと着工


東京の某公衆浴場ですが、昨年の11月に実施設計が完了したものの、施工者の選定に時間がかかったり、確認申請に時間がかかったりで、先日予定より2ヶ月遅れでやっと着工しました。21日は試験杭に立会い。試験杭というのは、たいてい1本目の杭で行うことが多いのですが、この現場も1本目の杭でした。この日は、ほぼボーリング調査どおりの支持層が確認され、地中障害物等もなく順調に進みました。この現場の場合、場所打ちコンクリート杭といって、アースドリルで穴を掘って、鉄筋を組みコンクリートを流し込むというやり方ですが、1日に1本くらいしかできないそうです。
それにしても、1日外にいると疲れますね。朝8時半に現場に着くためには、6時23分の新幹線に乗らなければならず、夕方にはもうふらふらでした。現場の人はこれから暑い季節なのでたいへんです。竣工は年明けですが、順調に進むことを祈るばかりです。

2010年5月25日火曜日

ティンバライズ建築展

青山のスパイラルで行われている「ティンバライズ建築展」(5月30日まで)に行ってきました。開催場所がスパイラルということもあってかたくさんの人が来ていました。建築の展覧会で、しかも「都市における木造建築の可能性」といったような比較的地味な(そう感じたのは僕だけ?)テーマなのでこの人の多さは意外でした。
展覧会の内容は、木造で耐火構造を実現するための方法(木造耐火部材のモックアップ展示など)といった基本的なことから、表参道を中心とした具体的な場所に、さまざまなビルディングタイプの木造建築物の提案まであり、とても充実した展示内容だと思います。柱・梁の木造ラーメンだけでなく、木造の折板構造や二重螺旋構造など、さまざまな構造なども提案されています。
さて、都市において木造建築を実現させるとなると、一番難しいのが耐火ということだろうと思います。都市部ではそのほとんどが準防火地域や防火地域となるため、建物の規模にもよりますが耐火建築物にすることが求められることがほとんどです。近年、地方の学校施設や福祉施設などでは木造建築物とすることが多くなってきていますが(ちなみに、長岡幼稚園は「燃え代設計」による準耐火です)、都市部でやるとなると格段にハードルが高くなり、防火地域で木造なんて最初から検討しないのが普通ではないでしょうか。しかし、今回の展覧会を見て、これからは木造も選択肢のひとつになってきそうだなと感じました。
木造は身近なようで身近でない。大規模や高層(といっても5階程度)、耐火ということになると一般的な方法では解決できないことが多いのです。鉄やコンクリートと同じように工学的な視点での技術開発が進むことは大変重要だと思います。
これに関連して、木造ということで言えば、「公共建築物木材利用促進法」が5月19日に可決されるなど、国としても木造でできるものはできるだけ木造でつくりましょうという方針が出されており(主に3階建てくらいまでの低層の公共建築物を想定しているようです)、今後具体的な木造建築への支援策などが出てくれば、地方公共団体や民間にも広まっていくような気がします。

はじめてのワイハー



アローハー。前回更新してから半年以上経ってしまいました。昨年の暮れから年度末にかけてやや忙しく、なかなか更新できませんでした。
なぜ、ハワイでもあるまいし、アローハー。と言ったのか。それはハワイに行ってきたから。「あっちこっち行ったけど、ハワイが一番いいねー」なんていう人にこれまで何人も会ったことがありますが、行ったことがない僕は「ふーん」と言うしかありませんでした。しかし、これからは「やっぱ、ハワイはいいわー」なんて言うこともできます。言わないけどね。でもまた行きたいと思いました。
さて、今回の旅行ですが、新婚旅行を兼ねるというか、ずばり新婚旅行なんですが、それと、6ヶ月になる娘も連れて行くということで、子連れでも大丈夫そうな場所はということでハワイになりました。同じホテルに5泊して、のんびりしようかという計画です。
旅行の楽しみといえば食事もそのひとつですが、おいしい食事にはあまりありつけませんでした。食事はダウンタウンのベトナム料理が一番おいしくて、しかも安かったです。でも、なぜかお酒類を置いてなくて、「飲みたきゃそこらで買ってきやがれ」と店主らしき人が言うので、近くのセブンイレブンまで行ったのですが、「身分証明書を見せてくれないと売れません」ということで売ってもらえませんでした。「ホワイ? ア、ア、アイアム、サーティシックスイヤーズオールド」って言ってもだめ。後で聞いたら、20代に見える人には一応身分証明書の提示を求めるというのがこの街のルールのようです。ビールが飲めなくて悲しかったのですが、20代に見られたということはうれしいような気もします。
その他、カヤックに乗ったり、ドライブしたり、一日買物地獄だったり、マウイ島でサトウキビ列車に乗ったり、ハレアカラ火山でパワーをもらったり、「ハワイの風気持ちいいねー」なんて言ってみたりと、意外に忙しく、ビーチでビールを飲みながら読みかけの村上春樹『1Q84 Book3』を読むなんてことはできませんでした(帰ってきてから読み終えたけど、そんなに売れる本か?って感じもしました。とくにBook3は話がなかなか展開しない。やっぱ、僕もそうですが、村上春樹はとりあえず買う、みたいな人が日本には100万人以上いるということでしょうか)。ハワイははじめてだし、ビーチでのんびりなんてわけにもいかず、あちこち行きたくなってしまいます。でも、次にハワイに行くときは、もう少しのんびりしたいと思いました。

2009年10月25日日曜日

名は体を表すといって

私事ですが、というか、このブログタイトルも「石橋剛の断続的日録」から「石橋剛の公私混同月録」にこっそり変更したので問題ないのですが、子供が生まれます。
そこで名前を考えなくてはいけないのですが、名は体を表すというように、名前によってその子がこれから歩む長い人生の大半が決まると言っても過言ではない。とても重要な問題です。それほど大切な問題であるから、古来より専門家に頼んで名付けをしてもらったりということが行われてきたのですが、最近ではインターネット上に候補となっている名前を入力するとその名前の子供がどのような人生を歩むか教えてくれるサイトがたくさんあります。便利です。ただです。これを使わない手はありません。当然、複数のサイトでチェックするというダブルチェック、トリプルチェクも簡単に出来ます。イエイ。
ところが、脳みそをしぼり、床を転がりながらやっとのことで考え出した名前を、これはどうだろうと入力して、「占う」というボタンをぽちっ通すと、「この名前を持った子は、一生呪われるでしょう」などという結果が出るのです。そして、再度脳みそを振り絞ってふんふんいいながら考えた名前を入力するのですが、何度やっても「悪い男にだまされ続けます」「借金で首が回らなくなります」という良くない結果が続きます。まあ、名は体を表すということが本当に正しいのかどうか、「ふとし」という名前なのに痩せている人や「細子」というのに太っている人などがいるように、「一生幸せになります」という名前を付けたからといって、本当にそうなるかはわかりません。でももうすぐ生まれちゃうし、2週間以内に出生届を提出しなければならないので時間もあまりありません。
一字違うと大変なことになるということに関連して、出産後に備えて「乳頭マッサージ」について調べようと思ったところ、一字違いで「乳首マッサージと」入力してしまい、とんでもない検索結果が表示されてしまうという経験をした人を僕は知っています。子供の名前も慎重に決めなければ。というわけで、考えは千々に乱れまとまらず、名前はまだ決まりません。

2009年10月4日日曜日

パンダ号 オーバーヒート



故郷の伊豆に戻ってきたときに友人から譲り受け、これまでずっと一緒だったパンダ号が到頭壊れました。うえー。これまでにも、オイルがすぐ無くなるとか、雨漏りがするといった不具合はあったのですが、エンジンが止まるといった致命的な故障は無く、5月には車検も通したばかりでした。
ところが、先週の月曜日のこと。いつも通り三島の自宅から事務所までパンダ号を走らせていたのですが、なんだか変です。どうしたんだろうか、アクセルを踏んでもスピードが上がりません。うげー、水温計に目をやると振り切れているではありませんか。そういえばなんだかオイルの焦げたようなにおいがするし、そうこうするうちにボンネットから煙が出てくるし。あわわ、やばいやばい、とあわてて車を止めて、修理屋さんに連絡。ということに相成った訳です。
ラジエーターに水を送っているポンプが壊れて水がだだ漏れになっており、タイミングベルトとポンプを交換する必要があるということです。「7万円くらいかかっちゃうけど、バラしてみてエンジンまでダメだともっとかかっちゃうね。これから他にも故障がどんどん出てきそうだしお勧めできないけどね」ということでした。
エコカー補助金があるうちに廃車にして新しい車を買ったろ。というたくらみがパンダ号の機嫌を損ねたとしか思えません。ごめんよー、パンダ号。あ、写真は先月の伊豆合宿でも活躍のパンダ号です。

Revit Architecture 導入

AutodeskのRevit Architectureというソフトを買いました。今までCADはJW_CADというフリーのソフトを使っていたのですが、他のCADソフトもそうですが、基本的には製図板の代わりにコンピュータで図面を描くというものです。データのやり取りや修正が紙図面よりも便利であり、今ではほとんどの設計事務所がCADを使っています。コンピュータを使った設計ということではRevitも同じですが、RevitはBIM(Building Information Modeling)といって、ひとつの建物モデルを作っておいてそこから必要な情報(平面図、立面図、パースなど)を取り出すというやり方で設計するソフトです。Autodeskが時々開催しているハンズオントレーニングに参加して実際にRevitに触れてみて、「これは画期的なソフトだ」と思ったのと、キャンペーン期間中で安く買えるということもあって(それでも40万円以上しました)思い切って導入しました。ひとつの建物モデルから図面を作成するので、図面の不整合ということが無くなるということであり、仕上表や建具表といった図面も連動するということなので、設計が進んでからの変更などもこれまでより簡単に対応できるようになるということです。
BIMを実現するソフトはRevitの他にもありますが、僕はRevitしか触ってないので、どれがいいかというのはわかりません。Revitだって買ったばかりで使うのはこれからで、実際のところはどこまで使えるのかはわかりません。
今後使っていくにあたって一番気になっていることはデータのやり取りのことです。Revitで実施設計まで出来るということですが、いきなり全てをマスターできるわけもなく、最初は現在使っているJW_CADも使わないといけないでしょう。また、協力事務所などにデータを渡すときに変換がうまくいくかどうかということも心配です。JW_CADどうしでも設定が異なれば出力したときの線の太さなどが変わってしまうのですが、Revit形式をJW_CADにするにはどうしたらいいのでしょう。Autodeskの製品なのでDWGには書き出せるはずなので、それをさらに変換してということになると思います。
まあ、とりあえずは使い方を練習して、半年くらいで覚えてしまいたいですね。CADソフトが変わったからといって、出来上がるもののデザインが良くなるのかどうかはわかりませんが、これまで図面の整合性をチェックするのに割いていた時間が無くなることなどで、デザインの検討にかけられる時間が増え、結果として最終成果物のクオリティが上がればと考えています。それと、このソフト、パースやウォークスルームービーなども簡単に作れるようなので、お客さんに対してもっとわかりやすい説明ができるようになるのではと期待しています。逆に注意しないといけないのは、「こういう形はRevitだと描きにくいから」というように、ソフトに縛られないようにしないといけないですね。

2009年9月11日金曜日

伊豆合宿





毎年恒例の伊豆合宿に今年も行ってきました。昨年も下田の吉佐美大浜だったのですが、そのときに「来年はあすこに泊まりたいね」なんて言っていたのがBY THE SEAというホテル(?)で、その念願宿願が成就したのでした。
今回泊まったのは、メインの白い建物ではなくて、大人数に最適(?)「佐賀藩主鍋島大名の別荘をリニューアルした」という「鍋島邸」のほうです。夕方に宿に着いたのですが、宿の人が外出中でいなく、どうしたらいいのだろうなんて言っていたら、宿泊客の人が「鍋島邸だったらあっちだよ。あそこに泊まるなんて勇気あるね。蟹でるよ。蟹」なんていいながら案内してくれました。部屋はかなり古くて、「私達さー、みんなそれなりに仕事もして、この歳だからそこそこ給料だってあるのに、なんでいつも雑魚寝なんだろうね」なんて言う人もいましたが、楽しいひとときを過ごすことが出来ました。同じ敷地内にある「洞窟バー」というのがまたすばらしくて、たまたまそこにあった洞窟をバーにしたという感じなのがとてもいい。
翌日は目の前の海でボディボードで遊んだり、バーベキュウをしたりしながら、「今日は次のお客さんいないからゆっくりめでいいよ」なんて宿のおじさんも言うので、結局宿を出たのは4時頃でした。

2009年8月24日月曜日

写真教室



沼津のTHE BLUE WATERというカフェーでの写真教室イベントに参加してきました。先生は写真家の遠藤貴也氏です。最近手に入れたEOS5D Mark2をぶる下げて。デジタル一眼レフを持ってきている人は僕だけだったので少し恥ずかしかったのですが、まあ、これからうまくなると言うことで。
で、うまく撮るためにはどうしたらよいかということですが、「被写体が一番きれいに見える光の当たり方を見つけ出す」ということが一番の基本となることでした。そのために、光を反射する白い板を被写体の手前に置いたり、グラスなどの透過光ものではグラスの後ろに白いものを置くなどの工夫が必要になってくると言うことでした。意外だったのは、被写体にちゃんと露出が合っていれば逆光のほうがきれいに写る場合が多いと言うことでした。
最後に遠藤先生が参加者ひとりひとりのポートレイトを撮ってくれました。後日プリントしてお店に置いておくということで楽しみです。それにしても、表情の引き出し方など、やっぱりプロは違うなーなんて思いました。グループに分かれてお互いを撮ってみましょう、なんていわれても恥ずかしくてなかなか出来ないですよね。昼の12時から始まって終わったのが夕方6時ごろと長丁場だったのですが、あっという間でした。

2009年8月13日木曜日

地震

11日朝の地震では、僕が住んでいる三島でも震度5強という揺れでさすがに飛び起きました。考えてみたら、震度5強というのは初めての経験だと思います。滅多なことでは夜中に目を覚ましたりはせず、「ドロボーが入っても、地震が来ても気がつかないねー」なんて言っていたのですが、今回ばかりは起きました。
ところで、東海地震は「唯一予測が出来る可能性のある地震」とかテレビなどで言っていましたが、今回のが予測できないで、本当に予測なんて出来るのだろうかと考えちゃいます。今回のは「想定される東海地震」とは違うということですが、その東海地震の時には2~3日前にわかるんでしょうか。こういう地震の後には必ずと言っていいほど、「実はその前兆が現れていました」みたいなことを言う人がテレビに出たりしてますが、そういう人がテレビに出たりするのは、世の中的にもなんとなく「地震は予知できる」と言うことが信じられているからなのでしょう。
建物の設計においても「震度いくつまで大丈夫なの?」なんてことを聞かれることがありますが、実はこれに答えるのは難しいのです。震度6強の地震が来ても建物が倒壊せず中にいる人の命が助かることを想定した強度が最低基準です、というようなことになりますが、同じ震度でも揺れ方によって建物にかかる力は違ってきますので、震度7だったら絶対壊れるかと言われれば、壊れないかもしれないとしか答えられません。安全の最低基準のようなものは必要だと思いますが、特に個人住宅などの場合は、施主の判断でもう少し耐震性能を選べるような仕組みが必要なんだと思います。

2009年8月5日水曜日

ガンダム



シンガポール在住の友人が一時帰国するということで東京で集まりがありました。といっても昼間からゆるゆるとビールを飲むだけなんですけど。最近はビールといえども飲みすぎると宿酔いになるので注意が必要です。
そのシンガポールからの来た友人が、せっかくのチャンスなのでお台場の等身大ガンダムを見たいと言い出して、飲み会の前に一緒に行くことにしました。今年でガンダムは30周年だとかで、いろいろな関連イベントがあるようです。独自の調査によると、30代後半に差し掛かった私たちの世代の男性の9割は「ガンダム」という言葉に異常な関心を示す(あるいは、関心があるふりをする)という結果があり、それ以外の世代とはガンダムに対する思い入れが全く違うようです。ちなみに、家内に一緒に見に行くかと言ったら、「行かない」と冷たく言われました。
それにしても実物大というのは迫力あるものです。子供の頃プラモデルを作った記憶はあるのですが、この大きさはなかなか想像できません。ちなみに建築の設計でも模型を作って検討することが多いですが、それでも実際に出来上がったものが思ったより大きかったり小さかったりするものです。設計の仕事をしている私たちでさえそうなんだから、クライアントにとって図面から完成形を想像するのはもっと難しいと思われます。出来上がってからこんなに狭いとは思わなかったとか、広すぎるとかならないようにできるだけわかりやすく説明することが大事だと思います。