2011年5月1日日曜日

家庭菜園



昨年越してきた今の家の庭には畑があります。冬の間は放置されていたんですが、春になって暖かくなってきたので、夏野菜を中心に植えてみました。イタリアンパセリやルッコラといった少しおしゃれな感じのする野菜や、枝豆やオクラやトマトなどです。まだまだスペースがあるので、今度はズッキーニやパプリカなども植えてみたいと考えてます。
庭から野菜を採ってきてサラダを作ったり、ピザに乗せて焼いたりといった、田舎の優雅な休日ライフを思い描いて始めたのですが、収穫までには長い道のりがあるのであって、鍬で耕したり草取りをしたりするのは結構大変です。いやいや、努力なくして成功なし。毎朝出掛けに畑の様子をチェックして水をやったりするのがいまのところ日課となっています。

2011年3月29日火曜日

建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム

東陽町のギャラリーA4で開催中の「八幡浜市立日土小学校と松村正恒展—木造モダニズムの可能性」を見てきました。本当は25日に予定されていた花田佳明さんと青木淳さんの講演も楽しみにしていたけど今回の大震災のためか中止ということで残念。タイトルの通り松村正恒の代表作である日土小学校に焦点が当てられています。日土小学校は2009年に改修工事が終わり保存再生工事が完成し新たな小学校として生まれ変わったということです。展示では、教室に入ったかのような感覚になる大きく引き延ばした写真や映像(明るい元気な子どもたちが駆け回っている)によって、今も日土小学校が大切に使われていることが伝わってきて感動的です。やはり建物は使われてこそ生き続けるのだということを改めて思いました。
そもそもこの展覧会をぜひ見に行こうと思ったのは、最近出版された花田佳明『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』(鹿島出版会)がとても面白かったからです。600ページ以上の分厚い本で読み出すまでに時間がかかりますが、読み出すと長編小説を読むようにすらすら進んでいけます。松村正恒という人は日本における最初のドコモモ20選の人というくらいの認識でしたが、こんなすごい人だったとは、というのが率直な感想です。モダニズム建築なんだけど、建物の自由にのびのびとした感じは本のタイトルにある「もうひとつのモダニズム」という言葉に集約されているように思いました。松村のひたすら理想の公共建築(学校や病院)を追い求める姿や、建築家としての倫理観など、地方の設計事務所で働く者としても勇気づけられます。
そういえば、こないだ、岡田湯の設備の営業さんと世間話の中でその人の出身地が八幡浜だという話になり、「日土小学校という有名な小学校がありますね」と言ったら驚いてました。日土小学校は夏休みなどに見学会もやってるようなのでぜひとも一度行ってみたいです。

2011年3月24日木曜日

岡田湯竣工

ロビー

浴室


浴室

こちらも長岡幼稚園と同様、2年前に実家の事務所に入ってから本格的に設計が始まり、長岡幼稚園と同時並行的に設計監理を行ってきました。こちらは、話をもらったのはかれこれ5〜6年前のことであり、その間のいろいろなことも断片的に思い出され感慨深いものがあります。計画自体も二転三転し、確認申請でもかなり変更を余儀なくされ、大変苦労して設計しました。
オーナーさんには「東京一かっこいい銭湯になったよ。東京一ということは日本一だよ」と言ってもらえたので、こちらも合格点といって良いのではないかと思います。オーナーさんの希望でしたが、浴室にロフトがあるような銭湯なんて他にないと思います(法的にはかなり苦労しました)。露天風呂も緑いっぱいで気持ちがいいと思います。まだ少し手直し等ありますが、最後までがんばろう。
長岡幼稚園とは違って、施工者と現場所長にははっきり言って苦労しました。すべてが自分の都合で動くと思っているのか、自分以外の立場・状況が想像できないのか、これまでもいろいろな現場所長さんがいましたが、これは初めて。施工者選定のときからかなり大変な現場になるだろうことは予想されましたが、、。そんなやり方では良い建物できないよ、TY建設さん(いちおうイニシャル)。それとも、役所指導による是正対応などを施工者に助けてもらうということ自体が甘い考えなのか。役所は「図面では読み取れなかった」などと平気で言うし。それに、施工者の提案を受け入れた部分だってかなりあると思うのだけど。まあ、今回、設計事務所の責任とかリスク管理ということではかなり経験値アップだと思いますが。
銭湯なので450円で入れます(ドライサウナはプラス200円)。風呂上りにはエビスビールもジョッキで飲めます。足立区にお住まいの方はぜひ一度行ってみてください。足立区在住の読者はいないか。3月26日オープンです。
天気の都合で外観写真はまだですが、内観写真を少しだけ。ホームページのほうにも改めてアップします。

長岡幼稚園竣工

南側外観

保育室

ホール

設計からだと2年弱、2年前に実家の事務所で働き始めて間もなく、プロポで運良く勝てた物件であり、思い入れの強い建物です。県産材の杉による集成材を使った木造としたこと、天窓によって採光と通風をコントロールし空調等に頼らなくても快適な環境となることを目指したこと、ヒノキフローリングや珪藻土など子どもたちに優しい自然素材を多く使っていることなどの特徴があります。設計が始まった頃は、県産材とか木造なんてことはあまり言われていませんでしたが、今は国も県も木造を推進しようとしています。政治的に木造じゃなきゃだめと言われるのも設計者の自由度が下がるような気がして違和感がありますが、幼稚園という用途では木造がいいと思います。出来上がってみると反省点もたくさんあり、今後に活かしていかなければという思いも強く持ちました。しかし、建物を見た人の評判はよく、いまのところ合格点はもらえているのではないかと考えております。
今回は工期が無くて大変な現場だったと思いますが、施工のクオリティは高いと思います。良い施工者良い現場代理人に恵まれたと思います。良い建物を造るんだという気持ちが伝わってくるような現場所長さんでした。私たち設計者は図面を描くだけで、出来上がる建物のクオリティは施工する人の経験や技術力に大きく左右されてしまうというのが現実でもあります。極端な話、出来上がる建物が良いものになるかどうかは運まかせということになりますが、設計者としてそれでいいのかということは悩ましいです。今回は運が良かったということか。
来年度の園庭整備が残ってますが、園舎のほうは4月から使われ始めます。子どもたちが元気良く遊び回って、生き生きと使われることを願っています。ホームページのほうにも改めてアップしますが、写真を数枚載せておきます。

2010年7月26日月曜日

こちらも着工



長岡幼稚園も安全祈願祭が行われいよいよ着工です。来年2月末の竣工予定です。監理のほうも引き続き担当することができ、竣工がとても楽しみです。暑いけど気合いを入れてがんばろう。

2010年7月5日月曜日

建築はどこにあるの?

アトリエ・ワン「まちあわせ」

中村竜治「とうもろこし畑」

ちょっと前になりますが、東京・竹橋の国立近代美術館でやっている「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」に行ってきました。世代の異なる7人の建築家たちによるインスタレーションで、図面や模型、建築写真といった普通の建築の展覧会とは違います。建築家が美術展に出展するということはこれまでにもありましたが、建築家のインスタレーションのみによる展覧会というのは記憶にありません。
竹橋駅から美術館に向かって歩くときはいつも、学生時代に国立公文書館(近美の隣)に毎日通ったことを思い出します。当時もそうでしたが、前を通りながらなんとなく入りにくい雰囲気のある美術館だなーと思ってました。なので、中に入ったことは数回しかありません。ところが今回は、アトリエ・ワンの「まちあわせ」という展示物が出迎えてくれます。動物のようなかたちをした竹でできた展示物で、普段はエントランス前の芝生で、なんとなくかしこまった感じの場所ですが、これによってほのぼのとした感じの場所になっています。いい具合に日陰ができたり、腰掛けるところがあったりで、外の空間いっぱいに広がって展示物があるというのもとてもいいと思います。
もうひとつ、驚かされた展示物が、中村竜治の「とうもろこし畑」という作品。もわっとした感じのボリュームがそこにあるといったらいいでしょうか。なんとも不思議な感じです。レーザーカットした厚紙をつなぎ合わせているということですが、これを作った労力とかそういうことは抜きにして、作品として圧倒されます。
その他の展示もどれも興味深く、共通するコンセプトなどはなく、バラバラといえばバラバラなのですが、それぞれ特徴があってそれはそれで面白いと思いました。でも、「建築はどこにあるの?」という展覧会タイトルは、「これが建築なの?」みたいに、ちょっと否定的に聞こえちゃうのは僕だけじゃないと思います。

2010年6月29日火曜日

吉村順三記念ギャラリー

わざわざそのためだけに行かないけど、時間が合えば必ず立ち寄る場所のひとつ、東京・目白の吉村順三記念ギャラリーに行ってきました。今回は、家内が東京に住む妹に会うということで、僕は運転手。妹さんのアパートについてからは、「どっか行ってていいよ」というので。。。
この吉村順三記念ギャラリーですが、「小さな建築展」として、毎回ひとつの作品を取り上げて、図面や模型などが展示されます。吉村事務所のOBの方などが中心になってやっているらしく、運がいいとその作品を担当した人がいたりして、直接話を聞くことができたりします。
今回は22回目の展覧会で、「御蔵山の家」です。この「御蔵山の家」は、1966年に竣工してから2回増築されて、今も大事に住まわれているということです。設計期間に2年以上かかってるらしく、さまざまなプランが検討されたことが展示からもわかります。中にはトイレが部屋の真ん中にあったりして、これはないだろうというようなプランもあるのですが、最終形がやっぱ一番しっくりとしているように思いました。最後の最後で東西を反転したりして、プランが決定しているなど、最後の最後まで検討が繰り返されている様子が伝わってきます。少しでも部屋を広くするための厚さ24ミリの合板だけの間仕切り(配線とかできません)や、仕上げ材料などからは徹底してコストを抑える工夫が読み取れるのですが、一方では、床暖房や暖炉があるなど、豊かな生活をおくるための追求がされています。この暖炉だって、躯体と一緒に打ってるので(躯体費に含まれてしまい)暖炉自体の値段はわからないなど、低コストで実現されていると思われます。いろいろな工夫が詰まった図面に見入っていると、「これが正解だと思っちゃダメですよ。こういうこともできるんだ、くらいに考えたほうがいいかと思います」なんていう解説があったりして、とても勉強になります。確かに、雨漏りや断熱のことを考えると、ついつい安全側、というか結果として過剰になってしまうのですが、「これでいいんだ。これでもいける」という感覚はなかなか身につかないなー、がんばろう、という気持ちになりました。
ところで、そんなに予算的に厳しいのになんでRCにしたのだろうかという疑問がわきます。会場の人に聞いてみたところ、「RCを木造のコストでやってみよう」という吉村順三の一言からRC造になったとかで、お施主様は、木造ともRCとも希望はとくに言わなかったということです。木造であればコスト的にはもう少し楽なはずなのに、そういったチャレンジングなところが吉村順三らしいような気がします。